原子爆弾を知らない子供達

1945年(昭和20年)8月6日午前8時15分、日本の広島市に、原子爆弾リトルボーイが、第33代アメリカ合衆国大統領ハリー・S・トルーマンの「広島・小倉・長崎のいずれかの都市に8月3日以降の目視爆撃可能な天候の日に「特殊爆弾」を投下するべし」という7月25日付け大統領令を受けたB-29エノラ・ゲイ)によって投下された。市内ほぼ中央に位置するT字形の相生橋が目標点とされ、投下された原爆は上空580メートルで炸裂した。

広島の3日後の1945年8月9日午前11時2分、B-29(ボックスカー)が長崎市原子爆弾ファットマンを投下した。投下地点は、当日の天候のため目標であった市街中心地から外れ、長崎市北部の松山町171番地(現、松山町5番地)テニスコートの上空であった。当時、長崎市の人口は推定24万人、長崎市の同年12月末の集計によると被害は、死者7万3884人、負傷者7万4909人、罹災人員:12万820人、罹災戸数1万8409戸にのぼった。

リトルボーイウラニウム原子爆弾

ファットマン=プルトニウム原子爆弾

最近では、リトルボーイが広島型ウラニウム原子爆弾の名称であることも忘れられているようです。

現在、40歳のわしが生まれる前の話です。

原子爆弾というものが、風化してゆくことも時代の流れなのでしょうか。。

わしが原子爆弾について知ったのは、体験談とか・・そういうものではありませんでした。

漫画本で知ったのです。

その名を、はだしのゲンといいます。

この漫画を読んだことのない人は、おそらく40代以降にはあまりいないと思います。

原爆が恐ろしい殺傷能力をもち、さらに大量殺戮兵器だという事を自覚させられる内容の漫画で、現在もある意味トラウマ的な印象が残っています。

原子爆弾の爆心地は、一瞬で人間が消えて影しか残らないほどです。

爆心地から離れた場所でも、爆風や熱戦でケロイド火傷・・爆風で弾丸のように突き刺さるガラス等で多くの人が死にました。

建築物も倒壊し、鉄筋しか残らないほどで下敷きなって多くの人が死にました。

そして、放射線物質が飛散し黒い雨となって降り注ぎました。

広島や長崎県外から、遺体処理に来た人達も何故かバタバタと倒れ・・謎の変死が多発しました。

頭髪が抜けたり、吐血したり・・・恐ろしい現象があちこちで起きました。

そのデータはアメリカが持っていますが、放射線物質による被爆であると断定できます。

わしは保守派と呼ばれる立場の人間ですが、はだしのゲンはとても貴重な原爆の被害を伝える作品だと思い高く評価しています。

原子爆弾を知らない子供であるわしらに、はだしのゲンは何を訴えるのか。

たしかに、主人公のゲンには昭和天皇への呪詛となりうる表現が使用されたり目を覆いたくなるような左翼思想がふんだんに盛り込まれています。

しかし、極東軍事裁判によるアメリカの戦犯判決の冤罪問題等も書かれていたりします。

お灸治療を捕虜にしてあげて、捕虜も喜んでいたが・・裁判では拷問にあったと言われた兵士。

捕虜にごぼうを与えて、裁判で根っこを食わされたと訴えられた兵士・・そういう冤罪についても書かれています。

一方、ゲンは後半には愚連隊おぼしき悪友と悪の道に迷い込みますが・・原爆孤児や戦後の闇市場暴力団やチンピラの無法も書かれています。

偏りはあるものの、当時を知る貴重な情報が散りばめられているのも事実でしょう。

はだしのゲンを読んでもわしのように自衛隊員になった人間も沢山居ますし、警察官になった人間も沢山居ます。

保守派の若手国会議員も、はだしのゲンを読んだことがあるはずです。

仮に、はだしのゲンを読んだところで愛国心が無くなるとか・・・それは極論です。

人間は、色んな思想や本、音楽、芸術、宗教などに触れながら自分の思想を高めていくのです。

はだしのゲンを読んだとしても、その他に色んな本を読んだりするのが人生です。

色んな漫画、本、資料を読んでどのような人格になるかは決まらないのです。

わしが、学生の頃から反日教育日教組教育がありましたし、自衛隊員に志願する時も色々言われました。

しかし、わしは志願し両親も印鑑を押してくれました。

反日教育日教組があろうがなかろか自分の人生です。

自己責任で自分を確立できなくて、何が愛国者でしょうか。

インターネットやコンテンツを最近は規制する動きがありますが、情報に規制や制限をかければ世の中が良くなるとか・・人格形成に適した環境を作れるというのは大きな間違いです。

それは、ロボット人間やマニュアル人間をつくる事とあまり大差ないのではないでしょうか。

色んな情報を整理して、リストラする能力。

つまり必要な情報を選んで、不必要な情報を削除する判断力のある人間を養うという事ができなればいけません。

はだしのゲンから貴重な情報や知識を得て、原子爆弾追体験しつつ、内容を見極める訓練を子供の頃からみんながやっているわけです。

現代の子供たちにも、わしらの頃と同様にノーカットで見せるべきです。

逆に言えば、当時左翼思想が作品に盛り込まれたという証拠・・貴重なサンプルにもなるのです。

子供と一緒に考えてあげたり、知識を深めるという親子の対話の機会にもなるでしょう。

はだしのゲン以外に原爆による被曝を追体験出来る・・もしくは、それに勝る作品が無いという現実もあります。

わしも個人的に、作者の思想や発言に対する不満や納得がいかない事もありますが・・それはそれとして・・はだしのゲンという漫画は、原爆を知らない子供達にとって貴重な追体験を体感出来る漫画であると評価します。

パソコンやプレイステーションよりもバーチャルで深みがる追体験は、今後も必要ではないかと思います。

それは、原爆の被害に遭遇し被爆された方や亡くなった方の痛みや苦しみを少しでも知りたい。

そして、原爆や戦争の犠牲になった方へ心からの追悼と慰霊を祈りたいという気持ちです。

御霊のご静安を心から祈ります。


原爆や戦争で亡くなった全ての人達の魂へ・・原子爆弾を知らない子供達より。


神鬼