大阪都構想と住民投票の総括

5・17住民投票大阪都構想ならず、反対多数によって大阪市特別区設置案は否決された。

この結果は議会制民主主義のルールに基づいた結果であり、その事は最大限に尊重したい。

反対多数は民意によるものであり、これは賛成派だった私も受け容れるものである。

今後は、都構想以外の枠組みの中で大阪市財政問題を解決しより良い大阪市政と大阪府政を実現する方向で各位頑張って頂きたいと願います。

想えば、橋下氏が政界進出をして今までの間。

大阪都構想という未来ビジョンを提示して、大阪府知事として、大阪市長として、この大阪に色んなテーゼを示したと思います。

その結果、住民投票による敗北をもって橋下氏は任期をもって政界から引退されることとなった。

民主党政権政権交代東日本大震災福島原発事故自公政権の政権奪還と激動の数年の間に大阪維新の会は維新の党を発足して国政にも進出。

まさに野党低迷期に進撃の維新として、自公政権に対して是々非々でのぞむ野党として注目された。

その維新の党の江田憲司氏も維新の党代表を辞任する運びとなった。

誰かが辞任して筋を通さないと維新の党は再生不可能となる事態である。

橋下氏と江田氏の辞任も已む得ずと言ったところであろう。

維新の党の政権公約の柱であった大阪都構想を失うということはそういうことである。

維新の党の議員も目標を見失い、自民党民主党に流れる者もでる可能性は否めない。

それを回避するには代表辞任、新体制発足しかないのだ。

この決断については非情に断腸の思いではあるが、橋下氏と江田氏の英断に拍手を送りたい。

また、大阪市特別区設置も大阪都構想も否認されたわけだが・・この結果を受けて大阪都構想反対派の政治勢力が民意を獲得したとはいえないだろう。

大阪府大阪市財政再建と支出削減はまったなしである。

今後は都構想の枠組みではなくて、従来の体制でこれをやらなけばいけない。

話し合いで解決をしないといけないので、大阪府側も大阪市側も開襟を開いてお互いの意見を理解・尊重し合ってよりハイレベルな大阪議会で大阪の再建を実現して頂きたいと欲するものである。

それは大阪市民だけの問題ではなくて、堺市豊中市を含む大阪府全体の問題でもある。

大阪府民全体の責任であることを自覚し、高い思想と志を持って新しい大阪をつくっていく事が大切である。

大阪維新の会についてはこのように総括するのがベストであろう。

これ以上、反対・賛成によって別れた民意に禍根を残すのは禁物である。

禍根を断って、次の展開に進むべきである。

ここからは、住民投票の結果による国政への影響を想定しつつ、維新の党を総括したい。

維新の党は野党第二党として勢力を拡大していた。

もはや、泥船となってしまっている民主党

確かな野党として、少数派にとどまる社民党共産党

風が吹かない国民生活、緑の党

これらの野党勢力とは違って、唯一風が吹いていたのが維新の党である。

最近の情勢では改憲派の野党でありながら、安保法制や派遣労働法においても与党自公政権抵抗勢力として積極的に異議を訴えていた。

江田代表も自公政権抵抗勢力として、是々非々で望んでいたと思う。

その維新の党のホームベースである大阪維新の会政権公約大阪都構想の否認は維新の党にも深刻な打撃である。

これは、自民党改憲案に反対であり、脱原発右派の私にとっても脅威だった。

対米自立と脱原発を訴えている改憲派の私にとって、維新の党は大切な一手であった。

改憲派であり脱原発派であった維新の党は、野党で唯一風の吹いている政党であった。

その維新の風が止まったことは、私にとっては痛恨の極みである。

自民党改憲案の中身を出来るだけ安保体制(日米同盟、対米従属)の補強に前のめりにさせずに、かつ、脱原発を速やかに実現するのが自分にとっての最速・最善の出口戦略だった。

維新の風が止んだことによって、自分の出口戦略は変更を余儀なくされたのである。

結果として与党自民党改憲の機会を大きく後退し、野党は脱原発と再稼働阻止において大きく後退する結果となった。

ここに政治的なバーター(代替え案)を感じる・・・が・・・だが、しかし!である。

しかし、一見するとバーターによる政治取引による都構想反対派(自民、公明、民主、共産)の相互妥協的(お互いに痛みをわかちあう)な状況に見えるが・・・内実は与党の勝ちである。

維新から引き剥がした票は民主党共産党には入らないからである。

維新から引き剥がした票は自公に入るので、自民党改憲案を通すのも原発再稼働もやりたい放題になっただけである。

むしろ、煩い維新の風が止んだことは自民党、安倍政権にとっては歓迎すべき状況であり、痛くも痒くないというのが正直な感想だ。

しかし、これも民意といえば仕方のない結果である。

風なき民主党が風なき維新を抱え込んでも、風は吹かない。

大躍進としんぶん赤旗が喧伝している共産党が、本当に大躍進をしているかというとそうではない。

社民党に至っては論外で、国民生活と緑も風は吹かない。

維新の風を止めたことは、実は改憲派には痛くも痒くもない結果であり、脱原発派にとっては更に厳しい状況を創りだしたというのが実情であろう。

戦局というものは、大局・対局を総合的に把握し戦略を練って戦わなねばならない。

国政の政局、戦局、戦略的には安倍政権の勝利というのが現実であろう。

私が維新を応援し、住民投票で賛成を推したのは維新の風を止めたくなかったからである。

特別区設置、大阪都構想の枠組みの中で問題を解決して維新を躍進させて大阪都を永田町にぶつけるという私の出口戦略と維新は終焉を迎えたのである。

この総括は私の断末魔の叫びである。

これが、戦国の世であれば大阪城陥落でわしは屍の上を歩きながら、矢も尽き刃も折れ、追撃を受け、槍を突き刺され、屍の上の屍となって、烏に喰われて、死ぬる場面である。

そして、夜な夜な彷徨う怨霊となるところであろう。

橋下氏と江田氏は、一族郎党連座制で打首である。

しかしながら、立憲主義と議会制民主主義の世の中である。

打首にされることも、屍となることもない。

戦場において、無残に散ることも良し。

生き恥を晒して、生きることもまた良しである。

若者たちは、生きなければいけない。

大阪都構想に賛成した若者たちが生きていることは、私の希望である。

だからこそ、立憲主義と議会制民主主義を守らなければならない。

私も43歳、人生の折り返し地点であり、もうお返しの人生を歩むべき年齢である。

だからこそ、若者たちの露払い役として今後も生き恥を晒して生きなくてはいけない。

大阪都構想保革シングルイシューと無党派サイレントマジョリティの戦いであった。

これから、また戦後70年続いてきたの日米安保体制保守と憲法9条護憲左翼の安保体制と安保闘争を補完する事態なってしまったことを若者たちに申し訳ないと反省するものである。

大阪都構想に賛成票を投じたのは圧倒的に若者たちであった。

若者よ!青年よ!大志を抱け!

君が竜馬になれ!

君が維新を起こせ!

私は君達の露払いとして、これからも頑張ろうと思う。

とりあえず、5・17住民投票の総括はこれまで。

次は大阪都構想に対する大阪自民党の対案である、大大阪構想と仁徳御陵ユネスコ世界文化遺産登録推進事業について論戦を展開します。

大阪自民党は震えて眠れ。

以上