【問題提議】拉致被害者とストックホルム症候群 〜本章〜
※本章に入る前にお読みください。
ストックホルム症候群 出典:Wikipedia
※ストックホルム症候群(ストックホルムしょうこうぐん、Stockholm syndrome)は、精神医学用語の一つで、誘拐事件や監禁事件などの犯罪被害者が、犯人と長時間過ごすことで、犯人に対して過度の同情や好意等を抱くことをいう。
『拉致被害者とストックホルム症候群 〜本章〜』
前回の序章で申し述べたとおり、日本人拉致の加害者である北朝鮮当局と拉致被害者の間にストックホルム症候群という精神的な問題があるのではないかという話を突っ込んで考察する。
北朝鮮の工作員によって拉致された日本人拉致被害、特定失踪者、名も無き拉致被害者は長年北朝鮮に滞在しているという事実は多くの方も認識していると想う。
加害者と被害者が長い年月を過ごすという状況によって、どのようなことが考えられるか?
3つのケースを想定した
①自分の命を守るために加害者と親密な信頼関係を築き、加害者に有用な人間になろうとする。
自分の命を守るための心理作用であり、生存の為の自主防衛的な精神作用である。
この精神作用が生じたことをもって、拉致被害者を責めることはできない。
②加害者が被害者に特権や家族を与える事によって被害者意識を奪う。
加害者である北朝鮮当局が日本国内並みの住居、生活必需品、食料、そして拉致被害者同士を結婚させることによって北朝鮮での定住を固定化させるような状況をつくっている。
③ ①〜②のケースと同時にストックホルム症候群の症状を更に進行させて精神を支配する。
ストックホルム症候群を進行させるには、より深い思想教育や催眠によるコントロールは勿論だが、被害者の自己防衛本能を途切れさせないように完全な監視下に置き、カースト制度のような階級社会をつくり、能力や貢献度に応じて階級特権を付与する。
底辺の境遇は生かさず殺さずの状況で、優秀な部下となった拉致被害者も転落すればこうなるという緊張感を維持する。
※底辺に北朝鮮帰国者日本人妻がいるのかもしれない。
ざっくりであるが、①〜③のケースを想定してみた。
また北朝鮮帰国者日本人妻については、ストックホルム症候群という状況さえ無く、スパイ容疑で強制収容所に幽閉され過酷な生活を強いられていたり、常に厳しい監視下に置かれて脱北ができない状況になっている可能性も否めない。
自分は日朝交渉によるストックホルム合意という言葉を見て即座にストックホルム症候群という状況を暗示していると想った。
日本に帰国した拉致被害者の蓮池薫さんが北朝鮮関係者に連絡を取ろうとしたり帰ろうとしたことも思い出した。
帰国した拉致被害者は子供たちや配偶者(ジェンキンス氏)を北朝鮮においているわけであり、当然、帰ろうとするだろう。
何故、被害者である拉致被害者や北朝鮮帰国者日本人妻が加害者である金体制のもとへ戻ろうとするのか?
日本に一時帰国した寺越さんや脱北して日本に帰国した北朝鮮帰国者日本人妻が何故北朝鮮に帰ったのか?
加害者と被害者の間に、理解できない奇妙な共存関係が構築されているという事がいえるのではないか。
主体思想というが、被害者当人の主体的な意識ではなくて、加害者と被害者の間に生まれた奇妙な共存意識が被害者の思考を支配しているのだ。
現在進行形のテロには時間軸というものがある。
拉致被害者と家族の再会にタイムリミットがあるのは当然として・・・ストックホルム症候群の進行も懸念すべきだ。
時間が経てば経つほど、ストックホルム症候群は進行してしまう。
拉致被害者が帰国すらも希望しなくなったかもしれないという状況も当然想定しなければいけない。
場合によっては帰国拒否という事態もありえるだろう。
在日コリアンが、何故、朝鮮半島に戻らないか考えたことがあるだろうか。
日本で生まれ育った在日コリアンは、日本での生活が定着しており、言語も日本語を共有し、生活の基盤も、アイデンティティも、実質的には日本人なのである。
多くの在日コリアンは日本に定住し、何れは帰化し、日本人の中に吸収されていく。
北朝鮮で長い年月定住している拉致被害者は日本からの迎えはとっくに諦めていてるという状況かもしれない。
急に、日本から迎えが来たと言われても・・・拉致被害者が日本への帰国を拒否している可能性は払拭できない。
ここで、よど号グループに話を戻す。
よど号グループの妻と子供たちが日本に帰国している。
以下、抜粋転載。
メンバーの妻
よど号メンバーは吉田を除く8人が1977年までに現地で日本人妻と結婚している。彼女たちはマスコミからよど号妻と呼ばれている。だが日本人妻の北朝鮮入国や結婚の経緯は必ずしも明らかでない。岡本武の妻の福留貴美子を除いて北朝鮮の思想に共感を持つ団体等に所属していたことなど北朝鮮の思想に共感を持っていたと思われている(福留は北朝鮮に行く前に日本で警察官採用試験を受験しており、思想はむしろ保守的だったと推測されている)。だが、八尾恵(柴田泰弘の元妻)は、自分を含めて日本人妻の多くは強制的に結婚させられたと主張している(なお、よど号事件の前から恋人関係だったことが確認されているのは小西隆裕とその妻だけである)。
よど号妻にはパスポートの返納命令違反等の旅券法違反で逮捕状が出ている。死亡が伝えられている福留貴美子(岡本武の妻)と北朝鮮在住の若林佐喜子(若林盛亮の妻)と森順子(田宮高麿の妻)以外の4人のよど号妻は2001年以降に帰国後逮捕され、旅券法違反による執行猶予付きの懲役刑が確定している。1988年に日本滞在中に逮捕された八尾恵(柴田泰弘の妻)のみ、アパートの名義で偽名を用いた公正証書原本不実記載・同行使罪で罰金5万円の略式起訴となった。
また、森順子・若林佐喜子は欧州における日本人男性拉致事件に関与しているとして結婚目的誘拐の容疑で逮捕状が出ており、国際指名手配されている。
メンバーの子供
よど号メンバー8人とよど号メンバー妹の計9人には20人の子供がいる。両親はハイジャックや拉致事件等による国際指名手配犯であるが、子供たちは血統主義による日本国籍を規定する国籍法から日本国籍の選択と日本への帰国を希望していた。日本に在する支援者が自治体に対して戸籍編製の手続きをし、2001年から帰国が行われ、2009年に全員の帰国が完了した。
2001年5月 田宮長女(22歳)・小西長女(22歳)・田中長女(22歳)帰国
2002年9月 小西次女(24歳)・岡本長女(25歳)・若林長男(24歳)・赤木長女(22歳)・魚本長男(23歳)帰国
2004年1月 田宮長男(20歳)・岡本次女(22歳)・魚本長女(21歳)・魚本次男(19歳)・田中次女(17歳)・田中三女(14歳)・柴田次女(23歳)帰国
2004年9月 田宮次男(16歳)・赤木妹長女(16歳)帰国
2006年6月 柴田長女(27歳)・赤木妹次女(?歳)帰国
2009年1月 若林次男(14歳)帰国
年齢は全て帰国時。
2011年4月 田宮の長男が三鷹市議会議員選挙に立候補したが落選している。
以上、転載終わり。
彼らは何故日本に帰国したのか。
明確な目的があるのではないか。
よど号グループの妻や子供から何らかの情報を得ることは可能ではないのか。
よど号グループから情報を得るべきであろう。
彼らは加害者として全てを語る義務があるのだ。
様々な情報を得て出口戦略を考える必要がある。
日本人拉致被害者の生存情報や精神的な状況を把握することが急務である。
これは国内で可能な案件である。
ストックホルム合意を生かすには、優秀な犯罪交渉人「ネゴシエーター」が必要だ。
精神心理学に精通した人材や、話題のテロ組織であるISISに拉致された人の救出に成功した海外のプロが必要。
海外の敏腕犯罪交渉人の力が必要不可欠である。
(日本の外務省には無理筋だろう)
ストックホルム症候群の影響を鑑み、一括帰国という現在のハードルを落とすことを問題提議したい。
思い切って、拉致被害者と家族の面会実現という方向で交渉してみてはどうか。
面会によって生存を確認して、そこからカウンセラーによってストックホルム症候群を解除してネゴシエーターによる交渉で取り戻す。
先ず、一番可能なラインとして出来ることは北朝鮮帰国者日本人妻と生存拉致被害者の寺越さんの状況確認である。
渡航者リストを見れば、北朝鮮帰国者日本人妻は北朝鮮にいるということは確実に解っているので面会を北朝鮮に提案してはどうか。
寺越さんは生存が確認されている拉致被害者であり、面会も難しくはないはずだ。
北朝鮮への見返り云々ではなくて、面会による生存確認を急ぐべきだろう。
そのために必要なのは米国による北朝鮮へのテロ指定である。
※テロ支援国家再指定が最低限の条件。本来ならば北朝鮮は国家でもなくテロ組織なので国際テロ指定するべき。
世界銀行や国際金融機関との取引を全て凍結するべきだ。
更には周辺国であるロシア、中国、韓国と連携して、北朝鮮に国際包囲網を敷くことである。
北朝鮮が体制を維持する為には日朝交渉しかない状況に追い込むのだ。
経済支援も生かさず殺さずで良いだろう。
北朝鮮に心理戦、精神戦を挑み、北朝鮮をストックホルム症候群に追い詰めろと言っているのだ。
先ずは拉致被害者と家族の面会実現という低いハードルでも良いので拉致被害者の生存を確認するべき。
そして、カウンセラーとネゴシエーターの協力を得て取り戻すという出口戦略もあって良いのではないか。
国際包囲網による北朝鮮に対するテロ指定〜人、モノ、金の流れを断つ〜北朝鮮が体制を維持するには日朝交渉意外にない状況をつくる〜拉致被害者との面会〜カウンセラーによるストックホルム症候群の状態を解除〜ネゴシエーターによる生かさず殺さずの交渉〜北朝鮮をストックホルム症候群に追い詰める〜全員帰国というプロセスだ。
※これは私的なプロセスであり、プロセスは安倍政権に一任する。
勿論、軍事力による圧力も不可欠であり、金体制崩壊による不測の事態も想定するべき。
しかし、戦争という手段は拉致被害者への誤爆という不測の事態も想定しなければいけない。
なるべく交渉によって速やかに帰国を実現するのがbetterだろう。
小泉政権時代に5人の拉致被害者及び家族全員を取り戻した奇跡を思い出すべきだ。
もう時間がない。
小泉政権に出来て安倍政権に出来ないわけはない。
ストックホルム合意という入口は出口になる。
入口を閉じるな。
モンゴルルートを活かせ。
平和安全法制を成立させるならば、米国には北朝鮮にテロ指定をやってもらわないと意味がない。
米国との公平な関係を築くための平和安全法制というならば、これぐらいの要求を米国にしてもバチはあたるまい。
お釣りを貰わないといけないくらいだ。
もう自分は拉致被害者と家族の再会の為ならば・・・安倍訪朝を出し惜しみしている段階ではないと進言したい。
金銭をドブに捨てても構わない。
金銭は単なる紙切れであり、生きていくための本質ではないはずだ。
戦争も否定しないし金正恩暗殺も否定はしない。
しかし、今、現在、可能なことをやらずして何をやるのか?
拉致被害者一括帰国とストックホルム合意による再調査の結果報告無期限延長は日本人拉致被害者、特定失踪者、名も無き拉致被害者、帰国者日本人妻、在北邦人、遺骨問題の放棄となるのではないか。
可能性を放棄するな。
諦めるな。
拉致問題啓発等の予算は全て交渉に注ぎ込んでもいい。
拉致問題の啓発は既にやり尽くしているのだから。
シンドラーのリストという映画があったが、金持ちのオスカーシンドラーがユダヤ人を一人でもホロコーストから助けるため、最後に車も売ればよかった、あれも売ればよかったと後悔して泣き崩れるシーンがある。
事実なのかどうかはどうでもいい。
命を救うのだ。
面会すら実現できず、家族と拉致被害者の再会すら実現できず、時間が過ぎて戦争をしても何も意味がない!
戦争や暗殺をやるならば、今すぐに準備をするべき。
ホルムズ海峡に派遣する艦艇は一隻もない。
海外派遣に割ける兵力は一人たりともない。
自衛隊の全戦力を投入する覚悟が必要だ。
協力しない国を恫喝しなくてはいけない。
米国、中国、ロシア、韓国の首根っこを押さえつけて言うことを聞かさないといけない。
戦争とは、そういうものだ。
米国はそうやってイラク戦争を起こしたはずだ。
しかし平和安全法制は北朝鮮との戦争に全く関係がない方向に進んでいる。
そして戦争をするために邪魔な憲法9条を延命する結果になったではないか。
これでは戦争すら不可能ではないのか。
されど交渉も戦争である。
武力行使をしないのならば交渉で戦うべきだ。
交渉を単に外交だと捉える必要性も無い。
レスキュー隊の仕事は人の命を助けるための戦争だ。
戦車や戦闘機やイージス艦を使うことだけが戦争ではないはずだ。
手段を選ばないということは交渉という選択を棄てることではないだろう。
なりふり構わず湯水のように金を使って、めぐみさんたちが帰ってくるのなら、それでも良いではないか。
ずっと放置してきたのだから。
ラストサムライなんてかっこいいものじゃない。
勇ましくない弱くてかっこ悪いことなのかもしれない。
かっこ悪いブサイクな人間でいいんだ。
それでも助けたい。
同胞を助けたいのだ。
安倍総理もかっこ悪くていいんだ。
同胞を奪還出来れば、かっこ悪くていいじゃないか。
サムライじゃなくてもいいじゃないか。
安倍総理も交渉に望みをかけていると想う。
安倍総理を支持してはいないが、拉致問題においては自分の思想や立ち位置を超えて協力したい。
拉致被害者を救出できなければ日本に未来はない。
人間の死は肉体の死だけではない。
魂の死は肉体の生存に関わらず死である。
そのことを日本国民も忘れないように。
必ず、めぐみさんたちを迎えに行く。
それしか、答えはないはずだ。
プロセスは答えの過程でしかない。
テストを回答するには、簡単な問題をどんどん先にやってしまうことである。
解ける問題を解かずに、解けない問題に時間を費やすのは愚かなり。
時は金なり。
拉致はテロなり。
現在進行形のテロであることを忘れないように。
生きているうちに再会を実現しなければならない。
もう、残された時間は殆ど無いのだ。
時間は過去〜現在〜未来へと一方通行にしか進行しない。
それが、この世のルールだ。
時計の針は止まらない。
要は急げである。
最後まで諦める必要は全くない。
出来る範囲で、出来ることをやっていこう。
以上である。
了
次回、【問題提議】拉致被害者とストックホルム症候群 〜最終章〜 近日執筆予定。
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